光に集っている虫々、正直ゾッとしますよね。
間違ってもあの中には入れません。
「虫は光に寄ってくる」は世界の共通認識です。
しかし虫は好きで光に寄っているわけではありません。
だって寿命の短い昆虫がわざわざ一晩、餌があるわけでもない街灯の下に集ってしまう意味は無いのですから。
それでも虫が光に集まる原因は、昆虫の目の見え方によるものなのです。
昆虫の目は人間には見えない「紫外線」の波長を捉えることが出来ます。その紫外線を元に、自分が飛ぶ方向や現在地を把握しています。
日中は紫外線を伴う太陽光が、”真上”から多量に落ちてきます。太陽光を背に受け世界のベクトル方向を理解します。
それでは虫の気持ちになってください。
太陽の紫外線を背に受けたとき、ここは平行な地面だと理解します。
平面の地面から跳ねて飛び立つには、斜め上方向に飛べば良いですよね?
それで行きたい方向に進むことが出来ます。丁度上の画像のような状態です。
さて夜になりました。
昆虫は、宇宙から降り注ぐ微量な紫外線や、もちろん月明りや星明かりもを捉えて活動します。
しかしそれは20万年前の話です。
人類が日常的に火を使いだしたのです。
さて明かりを背にして平衡感覚を得ていた昆虫の飛び方はどうなるでしょう?先ほど伝えた飛び方のように、光を背に受けて斜め上に飛び立ちます。
光や紫外線波長を信じて、行きたい方向に飛ぼうと思うと、まさに写真のように明かりに集ってくる飛び方をしてしまいます。
そう、飛んで火にいる夏の虫とはこのこと。
虫にとって、人類は後から誕生したくせに方向感覚はずらされ、生活領域や食料は減らされ、挙句の果てに近くによれば殺され、、、えらい迷惑ですよね。
昆虫は4億年前からこのやり方で地球で生活していました。
人類が火を使い始めたのは遅くても20万年前と、虫の歴史からするとごく最近なのです。
そして「これは太陽の光ではない!」と気付いた昆虫は、
後世にその学びを伝えることなく、
火や、噴火などに飛び込み、
白熱電球の熱さに焼かれ、死んでしまったのです。
虫が進化し、人間が発明した灯りと太陽光を識別できるようになるのはいつでしょうか。
或いは、漫画「テラフォーマーズ」のように、強欲な私たち人間に反旗をひるがえす日も来るのでしょうか、、、
カテゴリー
光に寄る虫
